若者の成長を願う友人

  友人の職場の若者が転職でやめるに際して、その若者からメッセージをもらったそうだ。そこには友人への感謝と敬意、具体的にどんな言葉が心に残っていてその後どんなふうに意識や行動を変えていったかが綴られていた。

友人は会社の若手の育成を任されており、「退職する若手からこんなうれしい言葉をもらったんだ」と、報告をくれたときに彼女の努力が報われたのだと私までじーんと胸が熱くなって嬉しくなった。若手向けのワークショップを作ったり、1on1ミーティングの時にその人におすすめの本を教えたり、職場の同僚が亡くなった時の作法などをさりげなく伝えたり。彼女や私のように大手企業でキャリアを始めると制度的に手厚く教えてもらえることも、今の会社ではなかなか行き届きづらいそうだ。転職による中堅の入れ替わりが多いため、若手への、特に実務外の指導への意欲や意識は全体的に希薄なのだろう。入社当時は無駄も多く煩わしく感じた細やかすぎる新人指導も、そんな話を聞くとありがたかったのだなと思う。個人的にはとんでもないルールやしきたりも多かったけど、経験を重ねて何が必要でそうではないかは分かっていくものだし、インプットがあるからこそ何を若手に受け継いでいくかに迷いがなくなるものね。

 中学の同級生だった友人とは入社年次も一緒。私が会社を辞めてキャリアを止めなければ同じ経験年数のはずだった。私も彼女のように若手の育成をしてみたかったなと思う。というより、「してみたかったんだな」が正しいかもしれない。業務に忙殺され、対人関係にストレスを抱えた毎日を脱け出し数年たった最近になって気づいたことだ。ただ、私が新卒から担当していた業務は圧倒的に若者の人数が少なかったので、私に後輩がいたことは最後の数年を除いてほとんどない。なので、働き続けていても未だにベテラン年次の最若手だったかもしれず、彼女の話を聞くといつも自分がやってみたかった事を追体験するような気持にさせてもらえている。ありがたい。

 先輩ばかりに囲まれた自分のキャリアを振り返って、上司や先輩からされて嫌だったことではなく、してもらって嬉しかったことや当時知りたかったことを若手に受け継いでいくことができる人って案外少ないんですよね。友人はまさにそれを実践しています。主担当の業務に加え、「若手には羽ばたいていってほしい」と、時間や労力を割いて若手育成に励む友人がかっこよくて眩しくて誇らしい!

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